ずいぶん昔から
10年以上前から
探してる日本語があります
想像して下さい
木があります
一本か二本か
どちらでも構いません
でも、三本までにしてください
それ以上多いとイメージが変わってきてしまいます
木には葉っぱが付いてます
しかし、夏の頃は生命力あふれるみずみずしかった緑色も
気温
湿度
日照時間
それらに影響され
それぞれの葉が
少しずつ色を変えていきます
人はそれを紅葉と呼び
わざわざ遠くまでそれを見に出かけたりします
「一週間早かった」
「見ごろは終わった」
などはよく聞く話です
その後は
散っていく運命にあります
気づかぬうちに
一枚二枚と散りはじめ
雨が降ればまとまって落ち
風が吹けば舞い上がることもあります
地面に落ちた葉は
踏みにじられ
ゴミとみなされ
取り除かれます

そんな葉が落ちる瞬間
あるいは
木から離れ、地面に落ちるまでの間
それぞれの葉は
それぞれの異なった落ち方をします
「散る」
の一言で片づけるわけにはいきません
「舞い散る」
強い風が吹いてのことならそれで良いのかもしれません
しかし強い風ばかりではありません
そよっと吹く風で落ちる葉もあります
そして何より
何より気になるのは
風もないのに落ちる葉もあるということです
「流れ落ちる」
のでも
「滑り落ちる」
のでもありません
しかも
それぞれの木にはそれぞれの
形
大きさ
厚み
重さ
すべて異なる葉が付いていて
異なる落ち方をします
小さい葉の
ひらひらひらひらひらひらひらひらひらひら・・・・・・・
それなりの大きさの葉の
はらはらはらはらはらはらはらはら・・・・・・
あるいは
はらひらふわはらひらふわはらひらふわはらひらふわはらひらふわ・・・・・・
どうしても
これを表す日本語が見当たらないのです
もう一度想像して下さい
木が生えてます
場所は、通りの向こうでも
窓から見えるお庭でもかまいません
しばらくその木を眺めて下さい
心静かに眺めて下さい
ある瞬間
風も無いのに一枚の葉が木から離れました
風は無いのでほぼ真下に
風は無いけど空気はあるので、それと触れ合いながら
時間にするとほんの僅か
わずかとは言え、瞬きよりは長く
あくびをする位の時間
裏返り
ひる返り
それでも地球上にある物の運命にしたがい上から下へ
微力ながら最後の抵抗とばかりに
あるいは、ほんの気まぐれで
正確に真下ではなく
そのすぐ脇に
そっとたどり着くまでの葉を表す日本語を
教えて下さい。
koyama