電動歯ブラシは自宅用と職場用で2本持ってる小山です。
そこは
裏通りの
薄暗く
寂れた一画。
その建物は
長い間使われた形跡も無く
人の気配を全く感じさせない
廃墟のようであった。
待ち合わせ時間を5分すぎた頃
一匹のネコがやってきた。
「遅くなって申し訳ございません。」
と、そのネコは言った。
「お忙しい中おいで頂きましたのに、お待たせさせてすみません。
オイルサーディンのふたを開けるのに手間取っているうちに、時間を過ぎてしまいました。
結局ふたは開かなかったんですけれど、そのことはもういいんです
とにかく急ぎましょう。」
「でも、扉に鍵がかかってて開かないんです。」
と、僕は言った。
見たところ、そのネコが鍵を持っている様子は無い。
「その扉は表向きの扉でございます。本当の扉はこの路地の奥の庭に生えているネコジャラシの脇にございます。さあまいりましょう」
そう言ってネコは建物の横の路地に入って行った。
僕は躊躇した。
何だか話が訳分からんことになり過ぎている。
ネコは通路の奥まで進んだところで、ゆっくりと後ろを振り返り、じっと僕を見つめながら・・・・・
koyama